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雨が降る朝。
水たまりに反射する街灯。傘を差す人々。
女の子は少し早めに家を出て、バス停に立っていた。
「今日も来るかな…」
心臓が、いつもより少しだけ早く鼓動する。
だって、雨の日だけ乗ってくる彼がいるから。
普段は自転車で通学している男の子。
けれど雨が降ると、バスに乗る。
今日も、雨音の中でバスがやってきた。
扉が開くと、彼が座席に腰掛けるのが見える。
窓越しに目が合う。
「…おはよう」
小さく呟く声に、女の子の頬がほんのり赤くなる。
傘を閉じる手が、少しだけ震えているのが自分でも分かる。
バスが揺れるたび、二人の距離はほんの少し縮まる気がして、
でも話す言葉はなくて、ただ心臓だけが騒いでいる。
外の雨音に混ざって、女の子の胸の高鳴りがリズムを刻む。
いつもの通学路が、今日は特別に見える。
「雨の日って、悪くないな」
そう思うのは、彼に会えるから。
雨の匂い、バスの揺れ、濡れた傘の軋む音…
全部が甘くて、切ない気持ちを運んでくれる。
バスが次の停留所に着くと、彼はいつものように自分の席から降りる。
女の子も息を整え、傘を差し直す。
「また明日、雨降るといいな…」
心の中でそっと呟く。
雨がもたらす小さな奇跡を、女の子は今日も胸にしまうのだった。
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